京都大学 歴史研究会 ブログ

京都大学歴史研究会のブログです。 毎週の活動報告なんかをしていきたいと思っています。

寺社にまつわる日本史 吉田神社編

初めまして。littleと申します。
歴研メンバーとして初めてここに書き込みます。
実は去年の5月くらいにはすでに会員となってはいたのですが、今まで特に書くこともなく来てしまいました…
なのでこれからは少しずつ記事を書いていこうかと思います。

題名にもある通り、僕がこれから書くのは「寺社にまつわる日本史」です。
神社や仏閣は歴史の要素を色濃く残すもの。そして京都には多数の寺社が点在しています。
それならば、寺社という切り口から様々な歴史が見て取れるのではないか、と考えて書こうと思いました。

ということで今回は京都大学のすぐ近くにある吉田神社にまつわる話をします。
よろしければ御付き合いください。
なお筆者自身が浅学のため、あまり深いところまで触れることはできていません。ご了承ください。

吉田神社

吉田神社、と聞いてまず連想されることはおそらく吉田神道でしょう。吉田神道は室町時代の東山文化期に吉田神社の神職、吉田兼倶が完成させた神道の一派で、高校日本史の教科書にも出てくるほど有名かつ重要なもの。
では、そもそもなぜ吉田神道がそこまで重要なのか?
それは吉田神道が、後世の神道に対する影響のほかに、かなりの政治的権力を持っていたためと思われます。
ここでは吉田神道が政治的権力を手にする過程を描いていこうと思います。

まずは伊勢神道について語る必要があります。この一派は鎌倉時代に出現するのですが、仏教伝来以来、宗教界では神仏習合が進み、10~11世紀の摂関政治時代には「日本の神は仏が仮に姿を変えて現世に現れたもの」とする本地垂迹説が浸透していました。平たく言ってしまえば、仏こそがエラいのだ、ということです。
これに異を唱えたのが伊勢神道の大成者、度会家行です。鎌倉時代、元寇の襲来によって日本では国家意識が高揚していました。この元寇に際しての暴風雨は神風とされ、後のちまで日本の神国思想の根拠となります。以上のような風潮の下、家行は日本の神を主とし仏を従とする神道思想、反本地垂迹説を唱えました。つまり、神こそがエラのだ、と言ったわけです。
しかしながら、伊勢神道は次第に力を失っていきます。南北朝期の動乱によって伊勢神宮領が侵略され、経済基盤を失ったためです。結果、式年遷宮が行えない時代さえあったほどでした。

そんな状況で室町時代に出現したのが吉田神道です。
もともと吉田家は代々吉田神社の神職を務め、多くの学者を輩出した家柄でした。吉田兼倶の四代前にあたる吉田兼熙(かねひろ)は公家と武家の顧問役となり、南北朝合一に尽くし、「神道の元老」と呼ばれています。しかしながら、古典や神祇故実の学問においては重要な地位を占めてはいたものの、神祇官としては神祇伯(神祇官の長官)を世襲していた白川家(花山天皇の皇孫が臣籍降下したもの)の次官に甘んじていました。
また、吉田兼倶は足利義政・日野富子夫妻と親密な関係を築いていたのですが、応仁の乱によって朝廷儀式と祭祀は中絶、兼倶の屋敷も焼失してしまいます。彼自身が原因ではないとはいえ、伝統的祭祀を中絶させてしまった兼倶は、神祇の家としての面目を失ってしまいます。この経験が兼倶を新たな神道学説樹立へと駆り立てていくこととなります。
東山文化期、神道思想の立場からする『日本書紀』などの研究が進み、兼倶は伊勢神道以来の反本地垂迹説に基づき、神道を中心に儒学・仏教を統合しようとする吉田神道を完成しました。それと共に兼倶は大元宮と称する八角形の神殿と斎場を建造するなどして吉田神社の権威の上昇を図ります。
また、白川家に対抗するために、「神祇管領勾当長上」などの地位を自称し、また諸国の神社・神職に対して「宗源宣旨」「神道裁許状」などと呼ばれる免許状を発行することによって、次第に全国の神社に支配を及ぼしていきます。
兼倶の教説には虚構や捏造も多く、当初は周囲の貴族や学者から強く非難を受けますが、その後吉田家による神社支配は江戸時代、幕府によって公認され、1665年の諸社禰宜神主法度によって神職に就くものは吉田家から「神道裁許状」を受けることが義務付けられるようになりました。こうして吉田家は政治的権力を手にし、その中小寺社支配は明治維新まで続くことになります。

以上が吉田神道が政治的権力を持つに至ったあらましです。
こうしてみると、吉田兼倶という人物はかなりの策謀家であったということが見て取れます。動乱の世を強かに生き抜き、最後には大きな権力を手にした吉田家。その礎を築いた兼倶はある意味、奸雄と呼べるのかもしれません。

これで今回の寺社にまつわる日本史はおしまいです。
至らない点が多々あったとは思いますが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
またご指摘等ございましたら、ぜひコメントにお願いいたします。

 追記
掲載し忘れていた参考文献を書きます。
・山川出版社『詳説日本史研究』五味文彦・高埜利彦・鳥海靖編
・吉川弘文館『日本神道史』岡田荘司編
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テーマ:歴史 - ジャンル:学問・文化・芸術

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